小売テック編集部
2026年7月4日 10:06
課題・背景
小売業界、特に食品・日用品を扱うドラッグストアでは、膨大な商品の賞味期限管理が大きな負担です。手作業によるチェックは時間と労力を要し、見落としによる廃棄ロスや、期限切れ商品の販売リスクを抱えていました。人手不足が深刻化する中で、従業員の負担増は離職に繋がりかねず、ツルハグループのような多店舗展開企業にとって、管理業務の標準化と効率化は経営上の喫緊の課題でした。
導入内容・技術
この課題に対し、ツルハグループはブライセンの画像認識AI搭載システム「B-Luck賞味期限チェック」を約2,300店舗に導入しました。本システムは、スマートデバイスで商品の賞味期限表示を撮影するだけで、AIが自動的に日付を認識しデータ化します。これにより、従来の目視・手入力によるチェック作業を大幅に削減。将来的には、POSシステム、CRM、気象情報APIなど、多岐にわたる外部システムとの連携により、データ活用の幅を広げる可能性を秘めています。
効果・成果
「B-Luck賞味期限チェック」の導入により、ツルハグループは賞味期限管理に関わる作業量を80%削減、作業時間を75%削減という驚異的な成果を達成しました。これにより、従業員の負担が大幅に軽減され、本来の接客や売り場づくりといったコア業務に集中できるようになりました。また、賞味期限切れによる廃棄ロスを削減し、年間数億円規模のコスト削減に寄与。正確なデータに基づく管理はヒューマンエラーを減らし、品質管理の標準化を実現しました。販売機会損失の削減や在庫管理コストの最適化にも貢献しています。
考察・今後の展望
本事例は、画像認識AIが小売業のオペレーションを根本から変革する可能性を示します。今後は、AIによる商品状態認識(見た目の鮮度判断)や棚状況認識(欠品検知、陳列最適化)への拡張が期待されます。これらの技術とPOS、CRM、SCMなどの基幹システムを連携させることで、需要予測の精度向上、パーソナライズされたプロモーション、サプライチェーン全体の最適化が可能になります。RPA連携による自動化の深化やクラウドネイティブなアーキテクチャへの移行も、持続的な成長への鍵となるでしょう。
現場への示唆
中小規模のドラッグストアや小売店でも、この事例は大きな示唆を与えます。高価なシステム導入が難しい場合でも、安価な画像認識アプリやクラウドベースの簡易在庫管理ツールから始めることで、同様の効率化を段階的に実現できます。現場スタッフは、退屈で負担の大きい賞味期限チェックから解放され、より顧客と向き合う時間や創造的な業務に集中できます。導入の際は、従業員のトレーニングとシステムへの理解を深めるサポートが不可欠です。小さな改善から始め、成功体験を積み重ねることで、店舗全体のDXを推進し、顧客満足度と従業員エンゲージメントの向上を両立させることが可能です。
ドラッグストアのB-Luck賞味期限AI、作業量80%削減
prtimes.jp